vol.14|sardanaのコーチング|なぜ“自分で気づいた学び”は消えないのか?
なぜ“自分で気づいた学び”は消えないのか?
― ティーチングとコーチングの違いがつくる成長の差 ―

こんにちは、須賀亮祐です。
サッカーを指導していると、「どうしてこの子は前にやったことをすぐ思い出せるんだろう?」
「どうして別の子は、同じことをやっても定着しないんだろう?」
と感じることがあります。
その差を生むのは、才能でも性格でもなく、“学び方そのもの” の違いかもしれません。
今日は、僕が海外のコーチから学んだ
ティーチング(教える)とコーチング(導く)の違いがどれほど子どもの成長に影響を与えるのか。
そして、なぜ “自分で気づいた学び” は時間が経っても消えないのか?についてお話しします。保護者の方にも読みやすいように、専門的な部分はできるだけやさしく書きますが、ご不明点あればお気軽にコメントください!
ティーチングとコーチングは、似ているようで全く違う
まずはシンプルに整理すると、
ティーチング
→正解や方法を「教える」
コーチング
→質問や発問で「気づかせる」
どちらも必要です。
しかし、サッカーのように状況が一瞬で変わり続けるスポーツでは、コーチングが圧倒的に価値を発揮します。
理由は明確です。
指導者は「全てを教えることはできない」
バルセロナやオランダの指導者が口をそろえて言う言葉があります。
“指導者はすべてを教えることはできない。でも、すべてを理解するための方法は教えられる。”
サッカーでは、
- 味方の位置
- 相手の動き
- スペースの変化
- ボールのスピード
- 得点状況
- 相手の癖
これらがすべて毎秒変わります。

つまり、「こうしなさい」を覚えるだけでは対応しきれないのです。
求められるのは、そのたびに 自分で状況を理解し、判断し、選ぶ力。
そのための武器が、ティーチングではなく「コーチング」です。
質問と発問は違う
ヨーロッパの育成で特に重視されるのが、
質問(Question)=答えを当てるもの
「誰にパスすべきだった?」
発問(Inquiry)=答えを自分でつくるもの
「なぜその選択をした?」
「次はどうするともっと良くなる?」
この“発問”が、子どもの理解を深くし、判断力を育てます。
日本の指導現場では、問いかけているつもりで実際には“誘導”や“責任を求める問い”になってしまうことがよくあります。
すると子どもは「考える」のではなく、「正解を当てにいくモード」になってしまいます。
海外で使われる“発問(Inquiry)”はその逆で、子どもが自分の意味をつくり、判断の根っこを育てるためのもの。としてすべての指導者は発問の方法を学びます。
※海外では「考えさせないほうが子どもの成長を奪う」とすら言われてしまいます。

本当に“気づき”は成長につながるのか?
そこで、実際にあった興味深い事例をご紹介します。
【 Aチームと Bチーム の比較実験 】
ある指導者が、次のような取り組みをしました。
●Aチーム
→ コーチング中心(問いかけ・発問が多い)
「何が見えた?」
「なぜその判断をした?」
「次はどうしたい?」
子どもが自分で考える時間をしっかり確保します。
● Bチーム
→ ティーチング中心(説明・指示が多い)
「次はこう動こう」
「こうするのが正解だよ」
「こうしたら成功するよ」
改善スピードが早く、わかりやすい。
ここで意外なことが起きます。
なんと、初回のトレーニングでは、Bチームのほうが前進して見えたのです。指示をそのまま実行するので、すぐに動きが改善され、見た目の成長が早い。
Aチームは、問いに向き合う時間があるぶん、その場では進みが遅いようにも見えました。
数ヶ月後、まったく同じ練習をもう一度行うと…
結果は完全に逆転しました。
●Aチーム
・すぐに前回のポイントを思い出す
・子ども同士で話しながら状況を整理する
・前回よりも質の高いプレーを見せる
つまり、“理解の構造” が頭の中に残っていたのです。
● Bチーム
・前回のポイントを覚えていない子が多い
・動きが前回とほぼ同じ
・質もほとんど向上していない
つまり、“その場の正解” を覚えただけで、学びが定着していませんでした。
この事例が示すこと
短期ではティーチングが有利に見える。
長期ではコーチング(気づき)のほうが圧倒的に伸びる。
教育学では、
- 深い理解で学んだことは忘れにくい
- 自分で気づいた学びは定着率が高い
- 主体的学習は長期記憶に残りやすい
という研究がたくさんあります。
つまり、“気づいた学び” は、時間が経っても消えない。“教わっただけの学び” は、時間とともに薄れる。
家庭でもすぐ使える「発問」4つ
今日の話は、家庭や学校でも同じです。
たとえばこんな問いが“気づき”を育てます。
「どうしてそう思ったの?」
「他に方法ってあるかな?」
「次はどうしたい?」
「うまくいった理由は何だと思う?」
正解を教えるより、考える道を一緒に作ってあげるほうが子どもの力は伸びます。
sardanaでも同じ変化が起きています
sardanaでも問いかけを大切にしています。
すると最近、こんなことが自然と起こるようになりました。
- 子ども同士でプレーを振り返る
- 「何が見えた?」と話し合う
- 自分たちで修正方法を探す
- コーチが口を開く前に、考え始めている
子どもたちは“答え”を求めなくなり、“理解”と“判断”を求めるようになります。
主体性は、教えて身につくものではありません。「考える機会」によって育つ のです。

最後に
子どもの学びには「すぐできるようにする」方法と、「長く伸び続ける力を育てる」方法があります。
sardanaではこれからも、すぐの正解より、未来に残る“気づきの学び”を大切にしていきたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
このブログが、子どもたちの学びを一緒に見守るヒントになってくれたら嬉しいです。
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